“恋人だから”、そういうのは一番苦手。

私は私、カラス君はカラス君。



お互いが主張しすぎない。

たまに、お互いを知る。


それくらいが、今の私には丁度良い。



寝惚けた頭でそう言ってみた。
私たちの、良いところみたいなことを。


「・・・・・・黒猫さんは、本当に気ままだね。

近付いたと思ったら離れるし、離れると思ったら近付くし」


カラス君は苦笑した。



「・・・え、何で。カラス君も大体そんなこと思ってるでしょう?」


カラス君は、私を抱えたまま笑った。



「うん。俺は俺、黒猫さんは黒猫さん。特別えらいって方もないし、友達みたいな恋人だよ。確かにそう。でもね、」



カラス君が綺麗に笑う。
どこか女々しく感じてしまうのは、きっと私だけじゃない。



「俺は、いつでも黒猫さんのすべてを知りたいよ?たまにお互いを知る、なんかじゃ物足りない」


不意打ちに、顔が熱くなってしまった。