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三時限目。

丁度、音楽の移動教室が終わったところで、私は一人で渡り廊下を渡っていた。



ただの休日に、当麻くんと話しただけなのに、何だか体が軽い。
学校が久し振りな感じがした。



自分の教室に戻るために、階段を下りようとした時。



階段にどっかりと座っていた、化粧が濃いめの、どこにでも居る“うるさい女子”と目が合った。


あぁ、この顔はどこかで見たことがある。



「うわぁー・・・あいつ、この間ウチを階段から落とそうとした女ー・・・・」

「マジでぇ?性格卑屈じゃん」

「そうなんだって」


ギャル四、五人で屯って居る階段を下りたいのだけど、しっかり階段が塞がれてて降りれない。


痛んだ黒髪をくるくるに巻いた女が、聞こえるくらいの小声で仲間と喋っている。



(こんの、蹴り落としてやろうか)


明らかに突っ立って居る私を馬鹿にした表情で、にやついている。



「ねぇ、そこ、どいてくれないかな」

「えぇー?何ぃ?」


少し前に出て、くるくる女と目を合わせた。