その日は、暑い真昼だった。 窓を見ると、道路で陽炎が踊っている。 私は陽炎が不気味で、小さい頃から嫌っていた。 『父さんが倒れたって・・・・・・』 電話を置いた母さんの顔は、今でも頭にこびり付いている。 暑い、じめじめした嫌な夏。 不気味なくらい涼しい病室に入ったとき、私は言葉を喋れなかった。 『アルコール中毒です。体内に消化しきれなかったアルコールが大量に確認されました。』 淡々と、重いように喋る医師が話したのは、紛れも無い“死因”だった。 白いベッドに横たわるのは、動かない、父。