カラス君と黒猫さん2



「どうしたの?急に」

「だって、気になるでしょ。無関係じゃないんだし」


カラス君の大きい手で頬を撫でられる。



「本当は、当麻君に会わす顔が無いんだ」

「・・・・・・うん」



前妻の子、当麻君とは義兄にあたる。
でも、生まれた時から殆ど一緒に居たし、普通の“お兄ちゃん”って感じだった。


変わったのは、中学からなんだ。



乱暴された時に、もっと抵抗してれば良かった。
次から次へと許すから、今こんな後悔してるんだ。


「俺は、お兄さんの事はどうでもいいんだけどね」

「え?」


いつも優しいイメージのカラス君から意外な一言に拍子抜けした。


「黒猫さんが、最近、あの日を境に元気ないから」


熱い手が頭を優しく撫でてくれている。


「私、元気ない?」

「うん。ない。」

「全然いつも通りだと思ってた」


カラス君は小さく笑った。



「“いつも通り”って自分じゃ気付かないんだよ」


何かを捕らえられた気がした。


(いつも通り、自分じゃ気付かない?)



「普段自分が同じ様な事をしてても、他の人から見ればちょっと違う時もある」


ね?
とカラス君は甘く笑った。