「いいわよねー学生は。色恋なんかできてさぁ」
「母さんだっていいひと居るんでしょ」
「やっぱりパパに敵う人なんて居ないわっ」
ぽ、と頬を赤らめる母さん。
あぁ、元気だなぁこの人は。
「カラス君のお父さんかっこいいよ。再婚どう?」
「そうしたらあんた達兄弟ね。結婚はできない事になるわ」
「やっぱり今の話ナシで!」
「そう来ると思った」
母さんが笑う。
今、何歳だっけこのひと。
あ、でも聞いたら怒られるか。
「ま、あんたが元気ならそれでいいわ。また今度カラス君とお話させてよ。そんじゃ」
「あぁ、母さんも体に気を付けてね」
母さんが急いだようにレジに向かう。
そして、急に足が止まったと思うと、こちらを振り返った。
「あんまりカラス君に世話掛けるんじゃないわよ」
「・・・・・・・・・・・・分かってるよ」
それだけ言うと、母さんは中年独特のいやらしい目をして、去って行った。
「カラス君が世話焼きなだけですー」
若干文句を言いながら、私は調味料コーナーに足を運んだ。
今日はお粥にしようかな。

