カラス君と黒猫さん2






「あん?琴羽?」


近所のスーパー。

そこで私は聞き慣れた声を耳に入れた。


「・・・母さん?」

「あー、やっぱり琴羽じゃない!あんた学校は?」

「・・・・・・・・・早退。みたいな?」

「みたいな?じゃないわよ馬鹿娘が!!」


昼頃の、野菜売り場。
そこに派手な母さんは居た。

真っ赤なシャツに、決して地味ではないコート。シンプルなパンツに、エナメル質なバッグ、ヒールが高いブーツ。


「・・・・・・夜の顔の母さんがどうしてここに?寝てるのかと思ってた」

「あぁ。今日ね、仕事休みなの。あんたこそ基本バイト尽くめだったのに、何で昼頃居るのよ。学校までサボって」

「カラス君の看病。今日学校で熱出してさぁ。カラス君意識なくなるし、結局連れてきたのは私の部屋」


少し母さんは怪訝そうな顔をして、溜め息をついた。


「あんた本っ当カラス君に夢中ねー」

「いやーそれ程でも」

「褒めてないわよ」


母さんは目の前のブロッコリーを籠に入れた。

ブロッコリー。うん、カラス君はまだ食べれそうに無いや。


あぁそうだ。
スーパーに来たのは買出しの為だった。

家にカラス君が食べられそうなものあんまり無いからなぁ。