「黒猫さん」
目を開けると、頬が薄っすら赤らんでるカラス君の顔。えろい。
「今日バイト、無いの?」
「・・・休んだよ」
「それなら良かった」
優しく笑うカラス君を見ると、普段と何ら変わりない。
表に出さないひとだから、難しい。
「つらい?」
「ん?」
「カラス君は、あんまり自分の事を話さないもん、分からない」
「そうかなぁ。別にそれ程辛くないよ。熱出て、気だるいくらい。」
そう言って、熱い手で頭を撫でられる。
これじゃあ、どっちが看病してるのか分かったもんじゃないや。
「もう寝た方がいいよ。おやすみ」
「うん、ありがとう」
私が居るとカラス君は何だか世話焼きになるような気がする。
お母さんか、って突っ込みたいけどそこは我慢で。
素直に寝始めるカラス君が、かわいい。
いつもと違う感じに、何かどきどきする。
うん。幸せな時間だ。
このままだと一緒に寝てしまいそうなので、私はカラス君から離れた。

