あまりに急だったから、目を閉じるのを忘れてしまう。
そして、侵入してきた熱い舌を感じて、はっと我に返った。
「っ、・・・・・・」
カラス君の体の横に手を付く。
少し口を離してくれた隙に、顔を上げた。
「からす、君・・・・・・・・・・・、」
「びっくりしたでしょ」
「したよ、いきなりだったもん」
目の下には、意地悪そうに笑うカラス君の顔。こんな顔見たこと無いや。
「熱測ろう?」
「あぁ、熱、ね」
さっきからずっと言ってたのに何を聞いていたんだろう。時々不思議な所がある。
カラス君が体を起こした。
「うー・・・・・・頭がくらくらする」
「熱出してるからね」
私から体温計を受け取ると、カラス君は大人しく測り始めた。
「ごめんね、本当は今日学校なのに」
「いいよ、サボれてラッキーだよ」
「それならいいけど」
優しく笑う、カラス君。
だけど随分辛そうな顔してる。
「うわ、眼球動かせない」
「眼球?何で?」
「俺熱出るとあんまり目が回せなくなるんだよね」
「そんな症状あるんだ」
そこで、体温計が鳴った。

