「・・・アイアムマン!コイツモマン!ワッツ?!」

「頭大丈夫?さっさと運んでよ」

「来るんじゃなかったー!!」

「そんな顔して叫ばないでよ、恥ずかしい」


カラス君の首元に腕を回した。熱い。
力を入れて、上体を起こさせる。


「・・いいよ、カラスは連れてってやる。その代わりにお前明後日の仕事2時間プラスな」

「ええー?2時間?」

「じゃないと俺は帰る」

「分かった!仕方無いなぁ、2時間延長ね」


そう言うと雅はそこそこ満足そうな顔をして、カラス君の上体下に手を回し、足を支えて持ち上げた。


「お姫様抱っこだ」

「この状態で背負えるなら背負いたいぜ」

「写メ撮っていい?・・・あ、携帯無いや」

「ばか、黙って着いて来い」


不機嫌そうな顔をしながらも、保健室を出る雅。

がらの悪い男が、寝ているカラス君をお姫様抱っこしていると、何だか妖しい。



「あー初めて男抱き上げた」

「はじめて見た」

「授業中で良かったぜ、本当」



発熱者が居る前でそんなに言えないけど、この状況が楽しい。
悪たれる雅と、カラス君。

新鮮だ。



雅のポケットから勝手に車の鍵を出して、指で遊びながら私は思った。