まだふさがってない
沙織の唇の傷口から、
少し血が
にじんでました。


わたしは興奮のあまり、
足ががくがく震えてて。


沙織は
冷静な顔になり、


『わたしに言わせりゃ
詩織ん家も
わたしん家もチも
大して
変わんないわよ。』


とだけ言い残し、
音楽室を出て行きました。