息をつき、銀縁の眼鏡を直すのは 白鳥 絃 (しらとり いと)さん。
華奢で、女の子みたいな容姿だけど、知的で冷たい目が特徴的。
何となく、だけど……私はこの人がちょっと苦手。
「ねぇ、僕お腹空いたんだけど?いつまで待たせる気?」
「あ、絃くんには私からこれを」
花鶏さんが差し出したのは、色鮮やかなサンドイッチ。
彼はそれを見て、声を上げる。
「……朝からこの僕に手を汚せって言うの?冗談じゃないよ」
眉を寄せた、心底嫌そうな顔。
……私は、この人が、苦手だ。
「ふふっ。大丈夫ですよ」
「何が大丈夫な訳――」
「手を汚すのは、藍の役目ですわ。はい、あーん?」
え、
ちょっ
「……まあ、それなら」
花鶏さんの手にあるサンドイッチを食べる白鳥さん。
いいんだ!?
