酒の名たるや




お答えくださいと迫る役者に、青年は不機嫌そうに立ち上がって男の方を振り返った。



ばしゃり。


水音は床に落ちた。



頭からクソ不味い酒を浴びせられた役者は、されども陽気な笑顔を絶やさずに。




「訊ねるか、凡人め」



芝居がかった口調で返答し、青年はニタリと笑った。