その後1週間で無事に退院した俺は、晴れて普通の高校生活への復帰を果たした。


久しぶりの学校。
もう遅刻ギリギリなんてことのないようにしなければ。

実に2ヵ月ぶりに見る教室はなんだか新鮮で、こんな気持ちになれるのもこの心臓のおかげだと思うと、手が自然と鼓動を感じる位置に行く。

若干の緊張をほぐすように一つ息を吐いて、勢いよく顔を上げるとそのまま教室のドアを開けた。

そこにあったのは、事故に遭う前まで毎日見ていた朝の教室の風景。
席を立って何やら楽しげに喋っている者。自分の席に着いて読書をする者。朝から元気に走り回る者。
なんだかすべてが懐かしくて、感慨深かった。

そんなことを考えてぼーっと突っ立っていると、クラスメイトの1人が俺に気づいて声を上げる。
するとあっという間に俺の周りには人だかりが出来て、久しぶりーだの大丈夫ー?だのいろいろ声をかけられた。
ただでさえ騒がしかったのに、俺を囲んで更に騒がしくなる。あぁ煩い。


『たまにはいいじゃねぇか。どうせこんなこともう無いんだから』

「いやそれはそうなんだけど…………え?」