肩に掛けたスクールバッグを揺らしながら走る。
と言ってもすぐ疲れてしまうので、とりあえず向こうの信号を目標に走る。

ふと辺りを見回すと、まあ見事に同じ高校の生徒は歩いて居らず、ますます焦った。
少しだけスピードを上げる。

そして順調に目標の信号を過ぎ、横断歩道を渡ろうとしたその時

ひゅっ、と喉が鳴る。
同時に息が詰まる感覚。







嫌な、予感。









「―――っ!!! っは、ぁあ ぅ、くぅ…ぅ 」

途端襲ってきた強烈な心臓の痛みに嗚咽が漏れる。

「ぅあ、ぃ…っく そ…」

身体中から嫌な脂汗が溢れ、乱れた浅い呼吸を繰り返す口は酸素を欲する魚のようにパクパクと震える。
力ない手は虚しく制服の胸元を握り締め、酷く前屈みになった身体は今にも折れそうな程ガクガクと震える膝だけでは支えられず、横断歩道の真ん中にうずくまる。

状況を理解するために必死に血の気の引いた顔を上げた。瞬間





視界いっぱいに――――1台の車。


激しいクラクション。





ここで俺の意識は飛んだ。