__________転校して1週間。
クラスにもだいぶ慣れ始めてきた。
笹木と、真理愛ちゃんと3人でいることが多くなった。
あたしたち3人は毎朝
あまり人がこない女子更衣室に集まる。
そこで、ジャージに着替えたり
登校してくる生徒を見たり
顔を整えたり。
とにかく、HRのベルが鳴るギリギリまで
更衣室でゆっくりする。
「ねぇ、真理愛ちゃん?今日も部活ー?」
『あ、うん。18時までかなー』
そう。
真理愛ちゃんは
女子バスケ部の副部長。
真理愛ちゃんとは家が近いから
帰れるときは一緒に帰ったりする。
だけど、あたしが家に帰るのはいつも決まって火曜日。
それ以外は、笹木と家が近いおばあちゃんちに帰っている。
「笹木ー、あたし今日おばあちゃんちいくー」
『まぢで?やったー!海行こうよ!』
「え、寒いぢゃんー」
あたしのおばあちゃんちは海が近い。
きっと、1分もかからないでつく。
そんな海にあたしと笹木は決まった特等席がある。
そこをたまり場としていつも遊びに行くんだ。
『てか、なっつー!真理愛ちゃんぢゃなくて呼び捨てにしてよー』
と、真理愛ちゃんが外を見ながら言った。
「んー、そだね。でも急に呼び捨てって慣れないから、まりりんって呼ぶ!」
『まりりん?ははっわかったよ(^^)』
ここまではいつもと変わらない日だった。
「あ、あたしトイレ行ってくるー」
『『はーい』』
寒い寒い。
鏡を見たかったあたしは
トイレに向かった。
『・・・今日、俺んちくる?』
『え、いいの?いきたいっ』
あれ?
トイレの入口であたしは立ち止まる。
南館から北館へ通じる渡り廊下で男の子と女の子が
気まづそうに話している。
いいわね〜・・・
初々しいわ。ってあたしも十分初々しい。
未経験、彼氏いない歴1年・・・
はぁ・・・っとため息をつく。
もう一度うらやましそうにその恋人たちを見る。
・・・ん?
あれ、五十嵐くんぢゃない?
その時。
「あっ・・・」
『あっ・・・』
あっちゃー・・・
目合っちゃった。
すると五十嵐君は彼女の手を引いて
北館へと走って消えた。
へ?なぜ逃げる?
そしてあたしも、放心状態のまま
南館のトイレへ消えた。
・・・彼女いたんだ。
ん?なぜ萎えてるあたし。