「月9見た!?」
「見たぁ!ヤバいよねっ」
「えー!?私見逃したんだけど」
「嘘っ昨日超ヤバかったのにぃ」


「でもやっぱり、ドラマみたいな恋したいよねー」


クラスの女の子が話してる内容に、耳を傾ける。
ドラマみたいな恋…。あり得ないってわかってるけど、少し期待しちゃう。
いつかそんな恋したいなぁって。

三崎杏奈。16歳。青蘭高校1年。
恋愛経験0…だからドラマみたいな恋に憧れる女の子です。


「あー…恋したい」
春の日差しがまぶしい今日。いつも口にする一言。
「杏奈ねぇ、最近そればっか」
「だってぇ…」
掃除の時間。だけど私にとってはただのお喋りタイム。
幼なじみの中野葉夏と恋バナ中…。
「いいなぁ、彼氏持ちの葉夏はぁ」
「あのね、彼氏ってそう簡単にできるもんじゃないよ?」
「そんなのわかってるよ。だから葉夏に憧れてるんじゃない」
ぷーっと頬を膨らませた。すると葉夏は
「何で彼氏できないんだろうね」
なんでってそりゃ可愛くないからでしょ。嫌みか!
「葉夏は可愛いし、スタイルもいいもんねっ」
モテモテだもんね。男女共に…。
「あ、わかった。杏奈はさ近づきにくいんじゃない?」
「えー!?なんでっ」
私ってそんな雰囲気だしてたの?なんかすごいショック…。
「だって、杏奈って誰にでも優しいじゃん?」
「そーかな」
「そうなの!だから告って嫌われて…話せなくなるのが嫌なのよ。男子は」
うーん…断ることはあっても嫌いにはならないんだけどなぁ。
「わかんないよ?」
私の心を悟ったように言った。
なぜか葉夏は人の心がよめるらしい。読心術…ってゆうのかな?
そんなことを考えていると…。

―スコンっ
「たっ!!」

頭に何か飛んできた。
拾い上げてみると、ただの紙を丸めたやつだった。

「ごめんね、杏奈ちゃん」
「あ、ううん。大丈夫」
はいっと手渡した。
男子は顔を赤くして去っていった。

「ほら、そういうことなのよ」
「ふーん、遠慮なんかしなくていいのに」
むしろ告ってほしい。
あーあ、なんか恋ってめんどくさいな。

「ま、そのうちできるでしょ」
「そうだね」

「こらっ!ちゃんと掃除しろー」

げっ!美船先生だっ。
先生の怒鳴り声が響く。それから生徒全員がちゃんと掃除に取りかかったのは言うまでもない。

美舟先生怖いからなぁ。いかにも体育会系って感じ。
しかも名前とのギャップありすぎ!



キーン、コーン、カーン…

5時間目、化学…。

「じゃあ気をつけて実験始めろ~」
「「はーい」」

数名の生徒が返事をした。
はぁ…。化学の実験って苦手なんだよな~。
しかも、うちの班やる気なさすぎ!