「ミサキ、こわいよ……。私、高速道路の教習受けたくない……」

「大丈夫だよ、助手席にはベテランの先生がいてくれるんだから。

これ受けないと、免許取れないよ?」

高速道路での教習前。

休憩室で涙目になっているミサキを励ましていると、私たちのそばのベンチに座っていたあっちゃんが声をかけてきたんだ。

「高速なんて、やる意味ないっすよね」

あっちゃんはなぜか、初対面の時敬語だった。


その会話をきっかけに、私たちはあっちゃんと親しくなって、車校を卒業する頃にはケータイの番号を交換するような関係になれた。

あっちゃんは経済学部だから私たちと同じ講義になることは少ないけど、自由時間には自然と一緒に行動するようになっていた。


あっちゃんはゆるく天然パーマがかかっていて、オシャレな服装。

男性として背は低い方だったけど、私やミサキよりは高い。

高校生っぽさがまだ抜けきっていないベビーフェイス。

あっちゃんにそう言ったら、「なっちゃんとみいちゃんも童顔じゃん!」って笑われたっけ。