前に、高校卒業した部活の先輩にドライブに連れていってもらって以来、ひそかに憧れてたんだよね。自分で車の運転するの。

いつか、夜の街道を、一人で思う存分飛ばしまくりたい。


まだ風の冷たい4月上旬。

桜が散りそうになっている頃、運転に憧れる私と恋愛対象になる男を探す目的のミサキは、車校の門をくぐった。

私は一人でも行動できる方だけど、ミサキにとって単独行動は心細いことこの上ないらしい。

結局全ての時間割を合わせて、私たちは教習を受けた。


そこで知り合ったのが、あっちゃんことアマネ。


車校に来ていたのは音羽大の学生が大半で、相変わらずプライドの塊みたいなヤツが多かったけど、あっちゃんは違った。

私たちが初めてあっちゃんと話したのは、高速道路での授業を受けた日。

仮免を取ってから初めて一般道路で運転の練習(路上教習)をさせてもらえるようになるんだけど、いい感じに運転慣れした私にとって高速道路を走行することはまさに夢の境地。

やっと高速行けるんだ! とテンション高めな私とは逆に、あっちゃんとミサキは「高速なんて絶対ムリ! こわいし!」と、青ざめていた。