ミサキは一人で家にいたらしく、インターホンの音に気づくと眠そうな顔で玄関に出てくる。

私とあっちゃんの顔を見てギョッとし、次第に噛み付きそうな表情になった。

かと思うと、捨てられた子犬のようにションボリとうつむき、

「ナルミ、やっと来てくれた……。

どれだけ待たせる気?」

と、私に抱き着いてくる。

何が何だか分からない私は戸惑いながらミサキを抱きしめ返し、

「だって、ミサキ怒ってたし……。

今はそっとしといた方がいいかなって」

「ナルミのそーゆうクールなとこ、時々寂しい……」

「ミサキ……」

ミサキは母親に甘える幼子のように、私の肩に顔をうずめた。

時間が経って気持ちが落ち着いたのかな?

ミサキの機嫌はとっくに直ってる。


「ナルミ。さっきはあんなこと言ってごめん。私どうかしてた。

あっちゃんにナルミを取られたような気がしてさ、つい……」

「もう、いいよ」

ミサキがわかってくれて嬉しいし、済んだことを責める気もない。

涙目になっているミサキをなだめ、さっきあっちゃんに聞いたユナちゃん話を教える。

あっちゃんと関わる気をなくしていたミサキも、状況を理解してくれた。