ミサキは相当怒ってる。

私は怒りを大きく表すタイプじゃないからか、こんなミサキを見るたびに思ってしまう。

エキセントリックだな、と。

ミサキの人格を否定してるわけじゃない。

ミサキは私に比べ、感情の起伏が激しいんだ。

喜怒哀楽、どれをとっても。


ただ、ミサキがこんなに怒りを抱え込んでいるのは、決まって自分の恋愛でトラブルに直面した時。

私の記憶が正しければ、今までに友達関係のことでこんなに立腹したことはないはずだ。


「あっちゃんの、何を見たの?」

ミサキの目をまっすぐ見ながら尋ねた。

「あっちゃんね、ラブホから出てきたの!

誰と一緒だったと思う!?」

「一人で休憩、とか?」

「んなわけないじゃん!

女と一緒だったの!」

「…………もしかして」

「そう! ユナって女と入ってったの!!」

「ウソ……」

「ほんとだよ! さっき見たもん!

ユナの顔知らないけど、あれは絶対、ユナに決まってる!」