怒り心頭のミサキをとりあえず2階の自室に通すと、お母さんのいないダイニングで適当なお菓子と冷えた麦茶を用意し、ミサキのいる部屋に戻る。


あまり物を置かないようにしている私の部屋には早くもクーラーの冷たい風が行き渡っている。

ミサキは難しい顔をして、丸テーブルの前に置いてある白いソファーに座っていた。

このソファー、実は最近新しく買ったばかり。

前はぺしゃんこになった座布団を敷いていた。フローリングなのに。

大学に入ってからも、小学~高校の時の友達がこの部屋に訪ねてくることがたびたびある。

うまく相談になんて乗れないのに、みんなは私に深刻な相談事を持ち掛けてくる。

そんなみんなに気の効いたアドバイスが出来ない代わり(?)に、少しでもくつろいでもらえればと、ネットで調べまくって値の張る物を奮発してみたんだ。


緩むことのないミサキの表情筋を見るともなしに見ながら、持ってきた麦茶たちをテーブルの上に広げ回想していると、

「あっちゃんは最低だよ!

ナルミも、もう関わるのやめよう?」

ミサキはまくし立てるようにそう言った。