放課後、私は第二特別教室の教卓に座って、橋本くんを待った。 ここは私のお気に入りの場所。 少し高めの教卓からは、教室の隅から隅まで見渡せる。 ガラス部分が割れて針が曲がった時計、いつのだかわからない掲示物の切れ端がまだはりついた掲示板、何人の生徒がつかったのかわからないぼろぼろの木製の机や椅子… がちんがちんとぎこちなく時を刻む時計の音に耳を澄ませ、数を数えていると不思議と落ち着いた気持ちになるのだ。 615回目の時計の音を数えようとしたとき、ドアがあく音がした。