太陽が傾いて、放課のチャイムがなる。 けだるそうな生徒の声と足音が教室を包んで、やがて静かになった。 一番最後に金子がにやにやしながらドアのところでこっちを向いた。 睨みつけると、肩をすくめて、バックから財布をだすと、くしゃくしゃの五千円札をだしてひょいとこちらに投げてきた。 「こえーこえー。"また"な。今度は失神すんじゃねーぞっ。ひっひっ……」 金子の気持ちの悪い笑い声は廊下に響いて、やがてきこえなくなった。