はじめて、あの教室を見つけたのは、入学して間もないとき。 校舎内ですっかり迷ってしまい、偶然辿りついた。 破れたカーテンから 差し込んだ光が うす暗い教室に流れこみ どこか神聖な教会のような 雰囲気だった。 高校と中学との違い、学力の差、どろどろした人間関係、軽い話題。 そんなものが嫌になりつつあった、その頃の無気力な私に不思議な力が宿ったようだった。 さっきまでは 動きたくもなかったのに 気付くと私は少しはや歩きで教室の中を見て回っていた。