一口。
たった一口で、すごい香りと優しい酸味、香ばしさ…全てが口の中をまわる。
いつもコーヒーにはミルクをいれるのに、それも忘れるくらいのおいしさ………。
その優しい味が、私の中の崩れた何かを呼び起こしてきたみたいで、どうしてだろう……自然に涙が出てきた。
「そっ………空部さんっ?」
空くんはカウンターの中から出てきて、私の脇に駆け寄ってきた。
テーブルを水拭きしていた空くんのお父さんもそばにきてくれた。
あぁ………
なんだか………
嬉しいな……………
なんか…………
久しぶりの感覚………
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