「リン、いいよ。俺はいいから。」 「……きょうくん。」 驚いてきょうくんの方を向くと、 帰れ帰れ、というように手を振った。 「二人で帰んな。俺のことはいいから。」 どうしよう、というように拓馬の方を向くと 腕を掴まれてそのまま下駄箱まで連れて行かれた。 1年2組の下駄箱の前で拓馬に腕を離され、 靴を履くとまた腕を掴まれて そのまま昇降口を出ようとする拓馬。 慌ててまだ踊り場と下駄箱の間辺りに立つ きょうくんの方を振り返って 「きょうくん、また明日ね!」 と叫ぶのが精一杯だった。 .