「……最低だな」 少し自嘲気味に笑って、蓮を強く抱き締めた。 ……俺の憎くて愛しい……たった一人の兄弟。 「にゃお~ん」 蓮を抱き締めたまま、猫の鳴き声の方へと視線を向ける。 そこには円らな黒い瞳をまん丸に見開いた……ノラの姿が見えた。