二人は『別に何もしなくていいよ』と、優しく言ってくれるけれど、何もしないでこの家に置いてもらうのは居た堪れない。 テーブルを拭きながら、不甲斐無い左腕を見つめる。 白いガーゼの貼られた傷口はもう何ともないというのに、肝心の指は少し動かすだけで酷い痛みを放つ。 その痛みが『お前なんて何の価値も無い』と言っている様な気がして、グッと布巾を握り締めた。