「俺もアナタに自分から会いに行くとは思っていませんでした」 敬語で淡々と答えて見せる俺の姿に、彼は微かに眉を顰めて首を傾げて見せた。 「……それで?」 短くそう呟き俺の答えを待つ彼をジッと見つめる。 飄々とした顔をしているが、緊張しているのか、肘掛けに置かれた彼の手が、きつく握り締められているのに気付いた。