「まさかお前から連絡がくるとは思わなかった」

そう言って黒い椅子に腰かけた男は、困った様に笑って見せた。

須藤グループ社長……須藤亮介。

彼はこの会社の最高責任者であり、そして……俺の父親だ。

その彼の後ろの大きな窓からは、灰色の街並みを見下ろす事が出来る。

三十階建ビルの最上階。

そこはワンフロア全てが社長室として使われている。