「泣かないで。泣かないで……お母さん」

そう声を震わせ母を呼ぶと、気付けば彼女と同じ様に、僕の頬を涙が伝っていた。

「僕は貴女を……許したい」

そう小さく呟くと、母の震える手がそっと僕の手に触れた。

その懐かしく、そして優しい温もりに……遠い記憶を思い出す。