……どうして僕は彼女に会いに来たのだろうか。

会って……一体何をする気だったのだろう。

僕を捨てた事を責めるつもりだったのだろうか。

勝手に僕を産んで、勝手に僕を捨てて、音楽を選んだ母親。

最低な母親だと、祖母が死んだ時にすら現れなかった最低な女だと……責め立てたかったのだろうか。

僕がどんなに彼女を恨んでいるのか、伝えたかったのだろうか。

そのまま真っ直ぐに彼女を見つめ返せば、胸には言い表せない不思議な感情が沸き上がった。