「……何も無いよ。僕にはもう……何も残されていないんだから」 「そんな事無い!!それは蓮がちゃんと見ようとしてないだけだよ!!ホントは知ってるくせに!!ただその事から目を背けてるだけのくせに!!」 ノラのその叫びは、僕の胸を抉る様に突き刺さった。 「じゃあ、どうして蓮はまだココに居るの!?どうしてお父さんの所に行かないのよ!!」 そのノラの突き刺す様な問いに何も答えられないまま、俯き、唇を噛み締めたまま、強く拳を握り締める。