「……蓮!!話を聞いて!!」

後ろからノラが呼ぶ声が聞こえるが、それを無視してカウンターの椅子に座った。

するとまるで全てを見透かす様な和也の視線を感じ、そっと彼から目を背ける。

「クロが死んだの!!」

突然、後ろから聞こえたその言葉に、小さく口を開く。

しかし、そこから言葉が漏れる事は無かった。

彼女に背を向け、強く拳を握り締めたまま、その残酷な現実から逃げる様に、静かに目を閉じる。