「……どうしてココが分かったの」

「明が教えてくれたの。蓮がここに居るかもしれないって」

僕の呟く様な問いに、すぐに答えが返って来る。

「……帰ってよ」

「……蓮」

僕の震える呟きに、ノラは小さく僕の名を呼んだ。

そえは酷く僕の心を揺さぶり、必死に忘れようとしていた感情を呼び起こさせる。

「蓮、聞いて……私は……」

「帰れって言ってるんだよ!!」

彼女の言葉を遮り刺す様な視線をノラに向けると、そんな僕達を茫然と見ていた二人が驚いた様に目を丸くした。

グッと爪が食い込む程に拳を握り締めると、そのままノラに背を向け、カウンターへと向かって逃げる様に歩いて行く。