《……あの子を……許してやりなさい》 祖母の最後に言い残した言葉が、頭の中に響く。 僕は……あの人を憎んでいるのだろうか。 僕を捨て、《音楽》を選んだ《彼女》を、僕は憎んでいるのかもしれない。 そんな《彼女》も《音楽》も……そして全てを持っている《あの子》の事も。 「どうしたらいい?答えてよ……おばあちゃん」 ボロボロと涙を零し、擦れた声で呟いたその瞬間、僕の後ろの扉が勢いよく開かれる。 そしてそこに見えたのは、僕が生まれて初めて見る事になる、息を切らせた……《父》の姿だった。