「……どうして君なの?……明も……バイオリンも……あの人も……全部、全部……君が……君が……」 それ以上、言葉は出て来なかった。 強くノラの肩を掴んだまま、彼女の流す悲しい雫を見つめる。 それはあまりにも稚拙で愚かな僕を責め立て、赦されない罪を僕に突き付けた。 これ以上、この子を傷付けたくない。 そう思うのと同時に、もっと傷付け、めちゃくちゃにしてやりたい。 そんな矛盾した感情がグルグルと僕の中を廻り続ける。 自分でも自分の心が理解出来なかった。