「……蓮」

そう小さく彼の名を呼んだその瞬間、今まで霧が掛った様にぼやけていた記憶の中の《彼》の姿が鮮明に思い出せる。

……この写真の少年が蓮。

……私がずっと探していたこの少年が……

「綾香ちゃん?」

写真を見つめたまま茫然と立ち尽くす私を、須藤さんが心配そうに見つめている。

「どうかし……」

「何してんだよ!!」

彼の言葉を遮る様に急に聞こえた怒声に、ビクリと身を竦める。

「……明」

須藤さんが微かに震える声で小さく名前を呼び、それと共にそっと後ろを振り返ると、そこには……明がとても険しい顔をして立っている姿が見えた。