『ちょっと難し過ぎたかな?僕にもよく分からないんだけどね』 そう言って彼は自嘲気味に笑うと、そっと私の手からバイオリンと弓を取る。 そして彼が小さな子供用のバイオリンを構えると、次の瞬間、それは美しい旋律を奏でた。 その旋律は泣いていた事を忘れる程に私の心を奪い、華麗にバイオリンを奏でる彼を見つめ続ける。 彼の弓の動きをただ茫然と見つめていると、旋律は静かに止んだ。