「ただいま~。遅くなってごめんね。ちょっと知り合いに会っちゃってさ」

そう言って蓮は笑いながら、キッチンへと向かってきた。

「何作ってるの?」

「今、カレーを作ろうとしてたところ」

蓮の問いにノラがニンジンと包丁を掲げて見せると、蓮は少し困った様に笑う。

「ノラが作るの?それってちょっと心配だな。……手伝おうか?」

「それって私が作る料理は食べたくないって事でしょ」

そう言ってノラは少し拗ねた様に頬を膨らませると、そっと包丁を蓮に差し出す。