「桜木さん!!」 その僕の呼び掛けに彼は歩く足を止めると……そっと僕を振り返る。 「私を恨んでいても構わない。しかし君が本当に向き合わなくてはならないのは……私ではないだろう?」 そう言って笑った彼の瞳は、凍り付く様に冷たく……そして鋭い。 「帰りなさい。ここは君の居場所ではない」 彼はそれだけ言うと、そのまま部屋から出て行った。