「まあ目が合ったことがないのはある意味不思議だけど、名前くらいは流石に知ってると思うよ。声とかも。それに少なくとも一回は空のこと見たことあるって。」
"その時空が見ていなかっただけで"と付け足して玲衣が言った。
私はそれを否定することが出来なかった。
玲衣が言っていることが間違っていると思えなかったから。
私はずっと水木くんは私のことを知らないとばかり思っていたけど、違う風に考えてみたら玲衣が言ったことも有り得るかもしれない。
もしそうだったとしたら少しは自惚れてもいいかな…?
例え、あれから2年経った今は忘れているとしても、あの時は私のこともクラスメートとして頭の隅にいたと思ってもいいかな…?

