頭を殴るような、衝撃。
ああ、これじゃあ一緒に帰るのは無理かな。
私は聞こえなかったふりをして、そのまま通り過ぎた。
「笠原」
玄関口まで来たとき、誰かが私の手を引く。誰かと言っても、もちろん一人しか居ないけど。
「……うん」
「何一人で帰ろうとしてんの」
そう言うミケの声は不満げで。
「彼女、出来たんでしょ。彼女と帰りなよ」
私も自分で驚くくらいに不機嫌な声が出た。
私が彼女が出来たのを知っていた事にも特に反応せず、ミケは不思議そうに首を傾げた。
「なんで。先約してたのに」
「そんなんじゃ、彼女嫌な気分するじゃん」
本当は、彼女の擁護をしたいわけじゃない。
ただ、このまま一緒に帰って、自分が「恋愛対象外だから、一緒に帰っても平気な幼なじみ」って認めるのが嫌だから。
そんな自分に少し呆れた。


