村瀬くんの反対の方からいきなり手を引かれて振り返った。 「……ミイ」 捨てられた子猫のような、寂しげな瞳とぶつかる。 「な、な……」 久しぶりに呼ばれた名前に、顔が熱くなるのを感じた。 キッと威嚇するように村瀬くんを見て、 「やっぱり、駄目。あげない」 ポツリと呟いて、私の手を握ったまま歩きだすミケ。 「ちょ、ちょっと……! ご、ごめん村瀬くん」 私が半ば引きずられながら謝ると、村瀬くんは苦笑を漏らした。