「ふーん、東京なの。僕はS県だよ。へえ、こっちのオーナーに親せきが……」 「うん。けど、バイトはこの夏でおしまい」 「……まだ、名前を教えてはくれないの?」 彼女は白い貝殻を手で弄んだまま、ちょっと黙った。