「同情、かな……」


二人で一人分の呼吸を分け合った。

あのさざ波にも似た血潮の流れる音。


「怖い……」


豊はベッドの縁にしがみついていた。

こんな感情があるなんて、知らなかった。

けど、もう、知らなかった頃には戻れないのだ。