しみる恋。


「あ、ァ……ごめん、なさいっ」


焦ったり、涙ぐんだりして、それこそもだえるように、彼女は繰り返す。

その表情は等身大の少女そのもの。

海の魔物なんかじゃないのだ――。


(できることなら、そんな君と出合いたかった――そのままの君に)


そのままでいいんだと、言ってあげたかった。


(そして、あの時のマーメイドに……)