「お疲れ様でしたー」

生放送が終了し、スタジオの中にいるスタッフさん、司会者、観客達にあいさつしてから楽屋へと向かう。


「sabotage!!」


「あ、社長」

途中、まどかさんに声をかけられた。

けれど俺が社長と言った瞬間に顔が曇った。


そして満面の笑みを浮かべながら

ギュウウウウウ


「いってぇ!!」

俺のほっぺを思い切り両手でつねった。

俺は慌ててまどかさんの手を払いのけ、睨む。


「社長じゃなくて、まどかさんと呼びなさい、まどかさんと!!社長なんて呼ばれたら老けそうじゃない!!」


「あー…すみませんでした、まどかさん」

俺がそう言うと満足したように頷いた。


「那智、蓮、放送中に無駄話しない!!」


「はーい」


「まあ、今日の歌は良かったわよ」


「…でもenの方が上手いだろ?」


俺がぼそっと言うとまどかさんはため息をついた。

「那智、enは確かに上手いわ。でもあんた達sabotageだってあれくらいになれる可能性を秘めてる。それだけは忘れないで」


真面目な顔でsabotage全員の顔を見渡した。

俺は何だか目を合わせてられなくて、目線をそらした。