『いよいよ…ね』
『ああ。エミリーには感謝してるよ』
『…上手くやりなさい、とは言わないわ。ただ、楽しんで演奏しなさい。今日披露するのはアップテンポな曲でしょう?その曲に緊張なんて似合わない』
エミリーはにこりと笑った。
その一言で、俺達の肩に入っていた無駄な力が抜けた。
「sabotageの皆さん、スタンバイお願いします‼」
スタッフの人が俺達を呼びに来る。
「よしじゃあ行くか」
俺のその一言で全員が立ちあがり、楽屋を出る。
「頑張りなさいよ、sabotage」
「ああ、行ってくる」
まどかさんの前を横切り、スタジオへ向かう。
蓮も真も馨も…顔つきが違った。
エミリーのおかげで上手くほぐれたのだろうか。
表情が柔らかい。
「なあ那智、今夜の発表の順番って…」
馨が俺の肩を叩く。



