「あ、はい」
思わず声が裏返る。
「…那智もエミリーも適当に座って。楽にして」
そう言われて、俺とエミリーはゆっくりソファーに腰を下ろす。
そしてやっと、まどかさんは頭を起こし、背筋を伸ばして座った。
まどかさんの真剣なまなざしを向けられたのは、俺だった。
「那智、さっきの作り笑い下手すぎ」
「…すみません」
「本題は、ここから。
那智…あなた、enの正体を知っているんじゃないの?」
まどかさんのその一言に驚いたのはまどかさん以外の全員だった。
「…なんで?」
「質問してるのはこっち。正直に答えなさい、那智。あなた、知っているんじゃないの?」
七海とエミリーの視線が向けられているのが見なくてもわかる。
七海なんて、きっと少しばかり青ざめているんだろう。
「…知ってます。俺はenの正体を…」
そう答えて、ちらりと七海の方を向く。
七海は目を見開いていて、落ち着かないのかあちらこちらを見ていた。
「…enの正体は、誰?大丈夫、ここにいる人はみんな知っているわ」
まどかさんは続けてそう問いただす。
ここまできたら、答えるしかない。
「…そこにいる、柳瀬七海…です」



